2026.5.12
マンションリフォームの結露・カビ対策5選!設計士が解説
お役立ちコラム
マンションにお住まいの方から特によくご相談いただくのが、「結露」と「カビ」の悩みです。毎朝、窓にびっしり付く水滴を拭いても、掃除が追いつかず、気づけば窓まわりや北側の部屋にカビが発生していた、という経験をされた方も多いのではないでしょうか。
実際に、結露やカビの悩みをきっかけに、リフォーム・リノベーションを検討される方も少なくありません。私自身、設計士として多くのマンションリノベーションに携わる中で、さまざまな結露・カビ対策を行ってきました。
その経験をもとに、今回のコラムでは、「リフォームでできる効果的な対策」について、5つのポイントに分けてわかりやすく解説します。
マンションが結露しやすい理由
マンションはコンクリート造のため、木造住宅と比べて気密性が高く、空気がこもりやすい特徴があります。空気がうまく流れないと湿気が室内に滞留し、結露やカビが発生しやすくなります。
下の写真は実際に弊社でリノベーションした際の事例です。このように、壁の内部まで結露やカビが広がっているケースも少なくありません。

また、コンクリートには熱を蓄える性質があります。日当たりの良い南側は日中の熱を蓄えて暖かくなりますが、日が当たりにくい北側はコンクリートが冷えたままになりやすく、室内に温度差が生まれます。
その結果、暖かく湿ったLDKの空気が北側の部屋へ流れ込み、冷やされることで結露が発生するのです。
①内窓設置

住まいの中で最も結露しやすい場所が「窓」です。
築20年以上のマンションでは断熱性能の低いサッシが使われていることも多く、築10年程度でもアルミサッシによって結露が発生しやすいケースは少なくありません。
そこで有効なのが「内窓」の設置です。既存窓の内側に断熱性能の高い内窓を追加することで、断熱性が向上し、結露を抑制させることができます。特に、樹脂サッシ+ペアガラスの組み合わせは、結露対策として非常に効果的です。
実際に、集合住宅を対象とした研究でも、内窓などの窓断熱改修によって、暖房時の結露量や室内温熱環境の改善効果が確認されています。※1
また、築年数の古いマンションでは、サッシの劣化状況によって管理組合から交換を認められるケースもあります。開閉しづらい、隙間風が入るなどの症状がある場合は、一度確認してみると良いでしょう。
※1 参考: 集合住宅の窓改修による室内温熱環境改善効果に関する研究(日本建築学会)
②断熱補強

壁の結露を防ぐためには、壁表面と室内空気の温度差を小さくすることが重要です。そのために有効なのが「断熱補強」です。
マンションの断熱工事には、大きく分けて「乾式断熱」と「湿式断熱(吹付断熱)」の2種類があります。
上の写真のような乾式断熱は、ボード状の断熱材を壁内部に施工する方法で、比較的コストを抑えやすいのが特徴です。
一方、湿式断熱はウレタンフォームを吹き付けて施工する方法で、細かな隙間まで断熱材を充填できるため、断熱性能・気密性能に優れています。ただし、湿式断熱は施工費用が高くなる傾向があり、マンションによっては管理組合への申請が必要になる場合もあります。
③調湿素材

湿気対策として有効なのが、「調湿性能」を持つ自然素材です。漆喰や珪藻土などの塗り壁材は、多孔質構造になっており、空気中の湿気を吸収・放出することで室内環境を整えてくれます。
特に、結露にお悩みの方におすすめなのが「中霧島壁」です。中霧島壁は、九州のシラス台地で採れる「シラス」を原料とした100%自然素材の塗り壁材です。シラスは火山活動によって生まれた素材で、優れた調湿性能を持っているため、湿気がこもりやすいマンションとも相性の良い素材です。
④換気計画
近年の住宅では24時間換気が義務化されていますが、築年数の古いマンションでは、十分な換気計画がされていないケースもあります。空気が動かない空間では湿気が滞留し、カビが発生しやすくなります。
そのため、「24時間換気機能付き換気扇の採用」「給気経路の確保」など、常に空気が流れる環境をつくることが大切です。東北大学の研究でも、24時間換気が結露対策として有効であることが示されています。※2
ただし、マンションでは給気量が不足していることも多く、排気ばかりを強くすると室内が負圧状態になる場合があります。その結果、「サッシから隙間風が入る」「玄関ドアが重くなる」といった現象が起こることもあります。換気は「排気」だけではなく、「給気とのバランス」を考えることが重要です。
※2 参考: 住宅における結露・カビの発生要因に関する調査研究(日本建築学会・東北大学)
⑤間取り変更
意外と見落とされがちなのが、「空気の流れ」です。廊下や洗面室が寒いため、LDKの扉を開けたまま生活されている方も多いと思います。しかし、家の中で最も湿気が発生しやすいのはLDKです。料理中の蒸気や、人が生活することで発生する湿気が、冷えた廊下や北側の部屋へ流れることで、結露につながります。
そのため、「建具で空間を仕切る」「北側空間への空気の流れを調整する」「廊下を減らし、LDKと一体化した間取りにする」など、温度差を減らす工夫が有効です。室内全体の温度差を小さくすることで、結露の発生を抑えることができます。
マンションで結露やカビが発生する原因と、リフォームでできる5つの対策として「①内窓設置 ②断熱補強 ③調湿素材 ④換気計画 ⑤間取り変更」について解説しました。
そのなかでも、最も効果を実感しやすいのが「内窓設置」です。窓はマンションの中で最も温度が下がりやすく、結露が発生しやすい場所だからです。ただし、内窓だけですべてが解決するわけではありません。
「断熱」「調湿」「換気」「空気の流れ」を総合的に考えることで、はじめて根本的な改善につながります。
また、必要な対策はマンションごとに異なります。マンションリフォームを得意とする会社に相談し、建物の状況や暮らし方に合わせた対策を検討することが大切です。